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「投資信託には複利の効果がある」「複利はお金を増やしやすい」といった話を聞いたことがあるかもしれません。ただ、複利やその効果が実際にどのようなものか、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、複利とは何なのか、投資信託の複利効果の仕組みや、複利効果を高めるためのコツなどとあわせて解説します。投資で効率よくお金を増やしていきたいなら、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
目次
複利効果とは、「複利」の力を活用して資産を増やす効果のことです。
そもそも複利とは、利子の付き方をあらわす言葉です。利子と元金の合計額に対して利子が付くのが「複利」です。それに対して、元金のみに利子が付くのを「単利」と呼んでいます。
式からもわかるように、複利は「利子が利子を生む状態」になるので、単利より増えやすいのが特徴です。どんどん積み重なって増えていくことから、複利の増え方は「雪だるま式」と呼ばれることもあります。
投資に取り組むときは、利益(運用で得た分配益や売却益)を再投資することで、複利効果を活かせる状態(利益がさらなる利益を生み出す状態)を作れます。
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複利効果はどれくらいなのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。
100万円をずっと年5%で運用し続けた場合、単利と複利でどのくらいの差が出るのでしょうか。試算結果は以下のとおりです。
単利 | 複利 | 差 | |
---|---|---|---|
1年目 | 105万円 | 105万円 | 0円 |
5年目 | 125万円 | 127万 6,282万円 |
2万 6,282円 |
10年目 | 150万円 | 162万 8,895円 |
12万 8,895円 |
20年目 | 200万円 | 265万 3,298円 |
65万 3,298円 |
30年目 | 250万円 | 432万 1,942円 |
182万 1,942円 |
50年目 | 350万円 | 1,146万 7,400円 |
796万 7,400円 |
単利は、最初から最後までずっと増え方が一定で、年5万円ずつ増えています。それに対して複利は、1年目の増え方は単利と同じですが、その後は利子が付くごとに増え方が大きくなっていきます。
複利なら、たとえずっと同じ利回りでも時間が経つほどお金が増えやすい状態になっていき、資産が加速度的に増えていきます。単利との差は歴然です。
複利で元本が2倍になるのはいつなのか、かんたんにわかる方法があります。それは「72の法則」と呼ばれていて、投資家などの間ではよく知られています。
たとえば年3%で運用した場合、72÷3=24なので、元本が2倍になるまで24年かかるということです。
これに対し、単利で元本が2倍になるのはいつなのかわかるのが「100の法則」です。
【100の法則】……単利で2倍
100÷金利=投資期間
使い方は72の法則と同じです。たとえば年3%で運用した場合は100÷3=33.333……なので、33年4カ月で2倍になります。前述の複利の場合は24年だったので、単利だと10年近く余計に時間がかかることがわかります。
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前述のとおり、複利の効果はとても大きいものです。投資信託で運用するときもぜひ意識しておきましょう。続いて、どうすればより複利効果を高められるのか解説します。
分配金とは、投資信託を保有しているときに受け取れるお金です。お金を受け取れるとうれしい気持ちになるかもしれませんが、複利の効果を高めたいなら、受け取るのではなくその分を再投資に回しましょう。
そもそも投資信託には「分配金なし」と「分配金あり」の2つのタイプがあり、自分で選択することができます。「分配金なし」なら、自動的に運用益を再投資してくれるのでおすすめです。
「分配金あり」のなかでも「再投資型」を選ぶという方法もあります。ただし、この方法だと分配金が発生するたびに課税されるため、実際に再投資できる金額は「分配金なし」のタイプより小さくなりやすい(=複利効果が小さくなりやすい)点に要注意です。
複利効果を高めるには、運用コストが低い銘柄を選ぶのもおすすめです。投資信託の運用には手数料がかかりますが、なるべく安いものを選べばそのぶん、再投資に回せる元本が大きくなります。
特に「信託報酬」はずっとかかり続けるものなので、よく確認して比較することが大切です。ただし実際に銘柄を選ぶときは、信託報酬の安さだけではなく、運用実績の確認も忘れずに行いましょう。
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先述のとおり、複利効果は長く運用すればするほど大きくなっていきます。例として、毎月3万円ずつ投資して年5%で運用した場合、運用期間によってどのくらいの違いが出るのか見てみましょう。
積立額 (運用収益+元本) |
運用収益 (運用で増えた額) |
|
---|---|---|
5年 | 204万 182円 |
24万 182円 |
10年 | 465万 8,468円 |
105万 8,468円 |
15年 | 801万 8,668円 |
261万 8,668円 |
20年 | 1,233万 1,010円 |
513万 1,010円 |
30年 | 2,496万 7,759円 |
1,416万 7,759円 |
複利だと、時間が経つほどお金の増え方が急激になっていきます。短期的な値動きに一喜一憂して売買を繰り返すのではなく、数十年単位の長期的な視点で見てコツコツと運用を続けていくのがおすすめです。
つみたてNISAは、一定額までの投資なら税金がかからずに済む制度です。2023年末までは、年間40万円まで20年間にわたって非課税で投資できます。
また、つみたてNISAで選べる商品は、金融庁が定めた基準をクリアした投資信託のみです。その基準の1つに「分配頻度が毎月でないこと」が含まれているため、つみたてNISAでは「分配金なし」の銘柄が多くなっています。
つみたてNISAで得た利益はすべて非課税なので、税金を差し引かれることなく再投資に回すことができ、複利効果を得やすくなります。
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つみたてNISAは2024年以降は新制度に移行します。新制度は現行の制度との併用も可能となっているため、非課税で投資できる上限を増やしたい人は、2023年のうちに口座開設をしておくのがおすすめです。
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iDeCoは「個人型確定拠出型年金」とも言い、自分で自分の年金を用意するための制度です。投資信託による運用も選択でき、つみたてNISA同様、運用で得た利益が非課税になるメリットがあります。
さらにiDeCoは、掛金が全額所得控除の対象となる、受け取るときにも大きな控除を利用できるなど、つみたてNISAより税制面でのメリットが大きいのもうれしいポイントです。
「原則60歳までお金を引き出せない」という制限がある点には注意が必要ですが、老後に向けて資金準備を進めたい人にとっては有力な選択肢となるでしょう。
iDeCoで投資信託を長期間運用すれば、複利効果が期待できます。
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「複利効果を活用して投資信託の運用に取り組みたい」と思ったら、まずは自分に合った金融機関を見つけて口座を開設しましょう。おすすめの証券会社を3つ紹介します。
SBI証券の取扱商品数 | |
---|---|
投資信託 | 2,638本 |
つみたてNISAの投資信託 | 192本 |
iDeCoの投資信託 | 38本 |
SBI証券は、ネット証券(インターネット専業の証券会社)の中でも最大手で、取扱銘柄数の多さや手数料の安さに定評があります。
楽天証券の取扱商品数 | |
---|---|
投資信託 | 2,630本 |
つみたてNISAの投資信託 | 190本 |
iDeCoの投資信託 | 32本 |
楽天証券も人気の高いネット証券です。楽天市場や楽天カードなど、楽天グループのサービスをよく利用する人には特にメリットが大きいでしょう。
auカブコム証券の取扱商品数 | |
---|---|
投資信託 | 1,632本 |
つみたてNISAの投資信託 | 187本 |
iDeCoの投資信託 | 27本 |
auカブコム証券は、「au」で知られる通信会社のKDDIグループでもあり、三菱UFJフィナンシャル・グループでもあるネット証券です。
複利効果を活用すれば、効率よくお金を増やしやすくなります。投資信託を運用するときは、分配金を受け取らずに再投資すること、手数料や税金などのコストを省いて再投資に回す金額を少しでも多くすることで複利効果を得やすくなりますよ。
自分に合った証券会社や投資信託を見つけて、長い時間をかけてじっくりコツコツと取り組んでみてはいかがでしょうか。
投資信託に複利効果はないって本当?
投資信託に複利効果はあります。
投資信託の運用でも、複利効果を得ることは可能です。ただし投資信託は預貯金と違い、毎年一定の利回りをキープできるとは限らず、値下がりや元本割れのリスクも存在します。
複利は値下がり時にはマイナスの影響を受けることも。預貯金のような元本保証商品とは性質が異なることを理解しておきましょう。
投資信託以外に複利効果を得られる金融商品はある?
株や預貯金でも複利効果を得られます。
複利効果を得られる金融商品は、投資信託だけでなくいくつも存在します。たとえば株式や預貯金などもその1つです。
ただし、株式で配当金の再投資をする場合は、税金や手数料の負担が発生しやすい点、預貯金の場合は利率が低く効果を感じにくい点に注意しましょう。
いざ、投資を始めよう!と思っても、数ある金融機関の中からどこを選べばよいか迷いますよね。そこで、多くの人に支持される金融機関3つを、独自のサービスやおすすめ情報と併せてご紹介します。
SBI証券
松井証券
楽天証券
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投資信託の複利効果とは?効率よく運用する方法もわかりやすく解説!
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