運用を始めようと、株式や債券、投資信託などに興味を持っているものの、「証券会社とは?どのような役割?」「なぜ証券会社で口座を開く必要があるの?」などと気になっている人もいるのではないでしょうか。
そこで証券会社の定義や役割についてわかりやすく解説します。この記事を読めば証券会社の仕組みがわかり、安心して口座を開設できるでしょう。これから投資を始めようと考えている人はぜひ参考にしてください。
目次
証券会社は、投資家と市場の仲介業という役割を持ち、幅広い金融商品を取り扱っています。
証券会社は、株式や債券などの金融商品の売買の取次や引受などを行う役割を持っています。具体的には、金融商品の発行体(企業や国)と投資家を結びつける役目を果たしています。株取引の例でわかりやすく見てみましょう。
証券会社は正式には「金融商品取引業者」と呼ばれます(出所:金融庁)。証券会社として営業を行うには、内閣総理大臣による承認(登録)を受けなければならない決まりがあります。
証券会社では株式や債券以外にも多くの金融商品が取引されます。一般的な証券会社で取り扱う主な金融商品を紹介します。
種類 | 内容 | |
---|---|---|
株式 | 国内株式、米国株、 中国株など |
|
債券 | 国内債券、海外債券、 社債など |
|
投資 信託 |
インデックス型、 アクティブ型など |
|
取り扱う金融商品の種類や数は証券会社によって異なります。
例えばSBI証券では国内株式、投資信託、債券ほか10種の金融商品を取り扱っています。特に外国株式のラインアップが豊富で米国株式を含め9カ国もの取扱があります。
楽天証券でも国内株式や投資信託、債券ほか9種の金融商品を取り扱っています。
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株式などの金融商品の取引は証券取引所で行われています。しかし証券取引所では、取引参加資格を持つ証券会社など(取引参加者)しか金融商品の売買はできません。
そのため個人投資家は証券会社に口座を開設して、証券会社に取引を行ってもらう必要があります。
証券会社で口座を開設するには、必要書類を提出して申し込みます。口座が開設され次第、証券口座に資金を入金して株取引が可能になります。
国内の証券取引所は東京証券取引所を含めて4つあります。各証券取引所に上場している銘柄数はそれぞれ異なります。
取引所名 | 上場会社数 |
---|---|
東京証券取引所 | 3,882社 |
札幌証券取引所 | 60社 |
名古屋証券取引所 | 276社 |
福岡証券取引所 | 108社 |
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証券会社が行う業務は4つあります。
ブローカー業務とは、投資家から株式や債券の売買注文を市場に取り次ぐ業務のこと。委託売買業務とも呼ばれます。
投資家から受けた株式などの金融商品の売買注文を証券取引所に伝える業務です。その際に発生する委託売買手数料が証券会社の主な収益源になります。投資家は手数料を支払い、売買取引を証券会社に委託するわけです。ブローカー業務は証券会社の代表的な業務です。
ディーラー業務とは、投資家と同じように証券会社が自らの判断で株式や債券などの売買を行う業務です。取引に利用する資金は証券会社の自己資金です。
ディーラー業務は自己売買とも言い、先述した委託売買の対義語に当たります。
ディーラー業務の目的は証券会社の利益確保や市場の活性化。基本的に一般の投資家が不利益を被らないよう、証券会社が保有できる証券の限度額は決められています。
証券会社はディーラー業務で利益を得て経営の安定を目指すほか、利害の衝突を防いでいます。
ディーラー業務によって市場が活性化し流動性が高まるため、個人投資家にとってもメリットがあります。
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アンダーライター業務とは、企業や国が発行する株式や債券を証券会社が買い取り、一般の人に売り出すことです。
引受業務とも言われ、発行元の会社や国から支払われる引受手数料が証券会社の収益になります。
売れ残った株式や債券は証券会社が引き取らなければならないため、特定の証券会社しかアンダーライター業務はできないことになっています。
セリング業務とは、新たに発行される証券や既に発行された証券を多くの投資家に販売する業務です。ディストリビューター業務ともいわれます。
セリング業務が前述したアンダーライター業務と異なる点は、買い取った株式や債券が売れ残ったとしても引き取る必要がなく、証券会社がリスクを負わなくてもいいことです。
証券会社はセリング業務を行うことで、発行元から手数料を受け取れます。さらに引き受けた価格と販売価格の差を利益として受け取れる仕組みになっています。
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証券会社は店舗型の証券会社とネット型の証券会社の大きく2つに分けられます。証券会社は日本証券業協会によると、国内に約270社あります(2023年1月時点)。
店舗型証券とは、その名のとおり店舗を持つ証券会社のことです。代表としては野村證券や大和証券などがあります。
店舗型証券を利用するメリットは、担当者と対面で相談できるため直接アドバイスや手厚いサポートが受けられる点。代表的な店舗型証券の口座開設数は以下のとおりです。
野村證券 | 535万2,000口座 |
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大和証券 | 304万2,000口座 |
SMBC日興証券 | 382万口座 |
ネット証券とは店舗を持たず、パソコンやスマホで顧客との取引を行う証券会社です。有名なネット証券にはSBI証券や楽天証券、マネックス証券などがあります。
店舗を持たない分、コストを削減できるため店舗型証券と比べて取引手数料が低い点が特徴です。
ネット環境さえ整っていればいつでも注文ができる点、市場動向などの情報を得られる点などがメリットです。
できるだけコストを抑えて株取引をしたいなら、ネット証券が便利です。代表的な会社を紹介します。
店舗型証券とネット証券の各特徴について前述しました。表にまとめると以下のとおりです。
営業時間 | 手数料 | サービス | |
---|---|---|---|
店舗型証券 | 平日昼間 | 高い | 担当者に直接相談できる |
ネット証券 | 24時間 | 安い | 電話やチャットで問い合わせ可能 |
手数料や自分の都合の良いタイミングで取引することを重視するなら、やはりネット証券がおすすめです。
代表的なネット証券については続けて詳しく紹介します。いずれも口座開設数の多い人気のネット証券です。
口座数 | 約1,000万口座 (2023年3月グループ計) |
---|---|
株取引手数料 |
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取扱商品 | 10種類 国内株式、外国株式、投資信託、 SBIラップ、債券、FX(外国為替証拠金取引)、先物・オプション 、CFD(くりっく株365)、 金・銀・プラチナ、 保険 |
投資信託 | 2,638本 |
外国株式 | 9カ国 (米国株:6,000銘柄以上) |
SBI証券の国内株の取引は2つの手数料プランがあり、いずれも手数料が安い点が特徴です。
取扱商品は国内株式や海外株式、投資信託、債券のほかFX(外国為替保証金取引)など幅広く、初心者からベテランまで多くの投資家に選ばれている証券会社としておすすめです。
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口座数 | 864万7,107口座 (2022年12月末) |
---|---|
株取引手数料 |
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取扱商品 | 9種類 国内株式、外国株式、投資信託、FX、債券、金・プラチナ・銀、ロボアドバイザー(楽ラップ)、CFD、先物・オプション |
投資信託 | 2,630本 |
外国株式 | 6カ国 (米国株:約5,000銘柄) |
楽天証券もSBI証券と並び、国内株取引の手数料が低いネット証券です。
株式投資にも楽天ポイントが使えるため、楽天カードの保有者や楽天市場など楽天グループのサービスをよく利用する人におすすめです。
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口座数 | 221万1,000口座 (2023年3月末) |
---|---|
株取引手数料 |
|
取扱商品 | 8種類 株式取引、米国株・中国株、投資信託、債券、FX、暗号資産、先物・オプション、金・プラチナ |
投資信託 | 1,331本 |
外国株式 | 2カ国 (米国株:5,000銘柄超) |
マネックス証券は米国株の取引に強い証券会社といわれています。米国株取引に役立つツールが豊富にそろう点も魅力です。米国株は時間外取引にも対応している点が強みと言えそうです。
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株式投資を始めるには、証券会社で口座を開設しなければなりません。そのためにも使い勝手の良い、自分に合う証券会社を選ぶことが大切です。
パソコンやスマホを使いこなすのが難しい人や、対面での相談を望む人は店舗型の証券会社を選ぶほうがいいでしょう。
逆に平日の昼間に時間が取れない人や、パソコンやスマホの操作に慣れている人などは手数料の低いネット証券がおすすめです。
選ぶ際には複数の証券会社をピックアップし、比較検討してから決めるようにしてください。初心者にはこちらで紹介した証券会社もおすすめです。
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証券会社と銀行はどう違う?
取り扱う金融商品や立場が異なります
証券会社の方が取扱商品は多く、銀行では取り扱っていない株式などの金融商品も購入できます。
証券会社は「直接金融」といい、資金調達を目的とする企業や国に対して投資家が直接的に出資します。
対して銀行は「間接金融」という立場で、預金者から預かった資金を調達が必要な企業や人に貸し出す業務を行うといった違いもあります。
証券会社が倒産したらどうなる?
証券会社が倒産しても、資金は保護されます
投資家が証券会社に預けている資金は、証券会社が倒産したとしても保護されます。なぜなら証券会社の資産と投資家の資産を分けて管理する分別管理が法律で義務づけられているためです。
万一、分別管理がなされていなかったとしても、日本投資者保護基金による顧客一人あたり1,000万円を上限とした補償制度が用意されています。
いざ、株式投資を始めよう!と思っても、数ある金融機関の中からどこを選べばよいか迷いますよね。そこで、多くの人に支持される金融機関3つを、独自のサービスやおすすめ情報と併せてご紹介します。
SBI証券
楽天証券
松井証券
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【初心者向け】証券会社とは?定義や役割をわかりやすく解説
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