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つみたてNISAは、国が国民に投資を促すために2018年にスタートさせた、比較的新しい制度です。運用がうまくいったときにかかる税金が非課税になるため、おトクに投資に取り組めますよ。
「つみたてNISAって具体的にどんな制度なの?」
「どうやって始めたらいいの?」
「どの銘柄に投資すればいいの?」
そんな疑問を持つ方に、つみたてNISAの基本から始め方、おすすめの金融機関から銘柄まで、必要な知識をやさしく解説していきます。これからつみたてNISAを始めようと思っている方は、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
目次
そもそも「つみたてNISA」とはどのような制度なのか、基本を整理しておきましょう。
つみたてNISAは、少しずつコツコツと積み立てていくタイプの投資を支援するためにできた制度です。金融庁の公式サイトでは以下のように説明されています。
つみたてNISAとは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です
(引用:金融庁 つみたてNISAの概要)
つみたてNISAでは、年間40万円×20年の範囲内で「投資信託」に投資していくことができます。
投資信託とは、多数の投資家から集めた資金を1ヵ所(ファンド)にまとめて、それを投資のプロ(ファンドマネージャー)がいろいろな投資先に分散して運用する商品のことです。
投資信託で利益を得る方法には、「分配金」と「譲渡益」の2種類があります。
投資信託を購入する(=投資する)とその投資信託を持っているあいだ、購入した量に応じてお金が還元されることがあり、これを「分配金」と呼んでいます。
持っている投資信託は売却することもでき、買ったときの金額よりも高く売れれば利益が出ます。これは「譲渡益」と呼ばれます。
通常、利益である分配金や譲渡益には税金がかかりますが、つみたてNISAならかかりません。
つみたてNISAでは、最初に一度設定しておけば、毎回自動的にクレジットカードでの決済や口座からの引き落としが行われ、指定した投資信託を継続して購入していくしくみになっています。
ちなみに、「NISA(一般NISA)」という制度もありますが、こちらは積み立てられる金額の上限や投資できる期間、選べる投資先などが違います。「NISA」と「つみたてNISA」はどちらか一方しか選べません。
つみたてNISAはNISAより「少しずつコツコツ」取り組むのに向いているため、投資に回せる資金が少ない人や投資初心者に人気があります。
少々ややこしいのですが、NISA制度には「つみたてNISA」だけでなく「NISA(一般NISA)」もあります。
どちらの制度も、投資に関する税制優遇制度である、投資で得た利益が非課税になるという点では同じです。ただ、以下のような違いがあります。
つみたてNISA | NISA | |
---|---|---|
投資できる金額 | 年間40万円 | 年間120万円 |
投資できる期間 | 最長20年 | 最長5年 ※期間後は新たな非課税枠への移管(ロールオ―バー)が可能 |
投資できる商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 株式投資信託、国内株、外国株、J-REIT、ETFなど |
投資のしかた | 毎回決まった金額を、決まった間隔で、決まった商品に継続して投資していく「積立投資」のみ | 「積立投資」だけでなく、好きな金額を好きなタイミングで好きな商品に投資していく「スポット投資」も可能 |
つみたてNISAは、一般NISAよりも1年間に投資できる上限額が低いのですが、投資できる期間は長いです。
つみたてNISAは「少しずつコツコツと長期間取り組みたい人」、一般NISAは「もう少し大きい金額を自分の都合に合わせて運用したい人」に向いていると言えるでしょう。
つみたてNISAと一般NISAは、どちらか一方しか選べません。それぞれの特徴を理解して、自分の希望に合うほうを選びましょう。
ここからは、つみたてNISAを利用するメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。おもなメリットは次の4つです。
1つずつ解説します。
通常、投資で得た「分配金」や「譲渡益」には、20.315%の税金がかかります。しかし、つみたてNISAを利用して投資していれば、非課税です。
税金がかからずに済めば、そのぶん手元に残せる金額が多くなりますので、投資家にとって有利です。
ただ、いくらでも非課税で投資できるわけではなく、以下のとおり上限が決まっています。
つみたてNISAでは、毎月1回ずつ積み立てていくケースが多いです。たとえば年間40万円の範囲内ギリギリになるように、毎回同じ金額ずつ12ヶ月積み立てるとすると、1ヶ月あたりの金額は「3万3,333円」となります。
つみたてNISAは「少額からの長期・積立・分散投資」を支援するために生まれた制度です。
株式投資の場合は1回の投資で数十万円の資金が必要になる場合も少なくありませんが、つみたてNISAならもっと少ない金額でも充分挑戦できます。
いくらずつ積み立てられるのかは、つみたてNISAの口座を開設する金融機関によっても違います。ただ、「月100円以上1円単位」で始められるところも多く、なかには買い物などで貯まったポイントを使って積み立てられるというところもありますよ。
「投資ってちょっと怖いかも……。」と感じている方、投資に慣れていない方、自分の商品選びに自信が持てない方でも、失敗してもダメージが小さくて済む金額から試せる点がメリットです。
ひとまず小さな金額から始めて、慣れてきたら金額を増やす、ということもかんたんにできます。
つみたてNISAで投資できるのは「投資信託」だけです。
投資信託は、投資のプロが目利きして詰め合わせたセット商品のようなものです。
投資信託を1本選ぶだけで、プロがいくつもの情報を分析して、いろいろな投資先を選んで、バランスを見ながら組み合わせたセットをそのまま自分の手持ちにすることができるということです。
そのため、まだあまり知識がない人、自分の目利きに自信が持てない人、個別の企業の財務状況や各国の動向などの分析ができない人でも比較的挑戦しやすい投資と言えるでしょう。
つみたてNISAで選べる商品は、数ある投資信託の中でも金融庁が「長期の積立・分散投資に適している」と認めた投資信託だけです。以下のような厳しい条件をすべてクリアしたものだけが選ばれています。
○例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの
(引用:金融庁 つみたてNISAの概要)
投資信託は全体で約6,000本ほど存在しますが、つみたてNISAで選べるのはその中の約200本ほどですので、かなり少数精鋭であることがわかります。
金融庁が認めたからといって「100%お金が増える」「高いリターンが約束されている」というわけではありません。でも、すでに厳選されている分、自力でイチから探していくより安心して選びやすいのではないでしょうか。
メリットだけでなく、デメリットについても知っておきましょう。つみたてNISAのおもなデメリットは次の4つです。
1つずつ詳しく解説します。
つみたてNISAは「損益通算」ができません。損益通算は、もし投資がうまくいかずに損失が出たときに税金の負担を少なくするためのしくみです。
通常の投資で損失が出たら、その損失分をほかの口座で行っている投資の利益と相殺(損益通算)して税金を計算します。たとえば損失が5万円で別口座の利益が10万円なら、差額の5万円に対して税金がかかるということです。
つみたてNISAではそれができないので、仮につみたてNISAの口座で5万円の損失がでて別口座で10万円の利益が出ている場合は、10万円に対して税金がかかります。この場合、通常の投資で同じ損失が出たときよりも税金が高くなります。
投資の損失を考慮して税金の負担をやわらげるしくみは「損益通算」だけではありません。「繰越控除」もその1つです。
繰越控除とは、損益通算では差し引きしきれないくらい大きな損失が出てしまった場合に、翌年以降の利益と相殺して税金を計算することです。
通常の投資であれば、損失を出した翌年から最長3年間にわたって利益と相殺し、税金の負担を抑えることができます。しかし、つみたてNISAはこれも利用できません。
つみたてNISAで投資できる金額は、年間40万円が上限と決められています。これに対し、一般NISAでは年間120万円まで認められています。
そのため、つみたてNISAは「毎月3万円くらいまでなら投資に回せそうだからコツコツやっていきたいな」という人にはぴったりなのですが、もっと大きな予算でガンガン投資していきたい人や短期間で利益を上げたい人には利用しにくいかもしれません。
ちなみに、つみたてNISAは年間の非課税枠は小さいですが40万円×20年=800万円まで投資できます。一般NISAは基本的に120万円×5年=600万円です。「つみたてNISAだから枠が小さくて損」というわけではなく、長い目で見ていく必要があるということです。
つみたてNISAでは投資できる商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」だけです。
「ある程度限定されているので選びやすい」と感じる人もいる一方、投資に慣れている場合や投資先や投資手法にこだわりを持っている場合など「もっといろいろな投資先を自分で選びたい」と感じる人もいます。
特に、投資信託ではなく株式投資に挑戦したい人は、日本株や米国株なども対象になる一般NISAのほうが向いているかもしれませんね。
ただ、つみたてNISAでも「株式を中心に投資する投資信託」に投資することはできます。個別企業の財務分析などをしなくてもプロにおまかせできるので、まだ知識に自信のない初心者にはつみたてNISAのほうが始めやすいでしょう。
ここからは、つみたてNISAを始めるには何をどうすればいいのか、必要な手順について解説します。
この3ステップに沿って、順番に見ていきましょう。
つみたてNISAを始めるためには、金融機関でつみたてNISA用の口座を開設する必要があります。
銀行や証券会社などで開設できますが、つみたてNISA口座は「1人1口座」と決まっているため、金融機関もどこか1社に絞らなくてはなりません。
金融機関ごとに、取り扱っている商品数や受けられるサービスが違います。選び方について詳しくは後述しますが(こちらで解説)、選べる投資先が多く、つみたてNISA利用者に人気なのが楽天証券です。
金融機関を決めたら、その金融機関の公式サイトや店舗の窓口などで申し込みの手続きをします。運転免許証などの本人確認書類や、マイナンバーがわかる書類を手元に用意しておくとスムーズに進められるでしょう。
口座が開設できたら、「どんな頻度で」「いくらずつ」「何に」積み立てていくのか、それぞれ考えて設定していきます。
積立の頻度は、金融機関にもよりますが「毎月」「毎週」「毎日」などから選べます。積立額は、年間40万円までにおさまるように設定しましょう。
月3万3,333円×12ヶ月=39万9,996円です。金融機関によっては「ボーナス月だけ多めに積み立てる」などの設定ができ、40万円ぴったりになるように注文できる場合もありますよ。
「せっかくなら非課税枠を使い切って、最大限おトクに投資しよう!」と言いたいところですが、つみたてNISAにたくさんお金を回しすぎて普段の生活が圧迫されてしまうようでは本末転倒ですので、家計のバランスを考えて無理のない範囲で設定しましょう。
投資信託は複数同時に積み立ての設定をすることもでき、いくらずつ積み立てるかそれぞれ決められます。投資信託の選び方についても後ほど詳しく解説します(こちらで解説)。
つみたてNISAでは、一度設定を済ませてしまえば、あとはそれに従って毎回自動的に積み立てが実行されていきます。特に新たな手続きや操作は必要ありません。
基本的にほったらかしでも問題ありませんが、年1回などタイミングを決めて、定期的に様子を見るようにするとよいでしょう。金融機関のマイページなどで現状を確認できます。
どれくらい増えているのか、当初決めた方針とのずれがないかなどを確認し、このままでいいのか、別の商品にしたほうがいいのか、積立額を多くしたほうがいいのかなど今後の作戦を練ります。
投資に慣れていない人は、最初は気になって毎日毎日値動きを追いたくなるかもしれません。でも、それでいちいち一喜一憂していると疲れてしまって長続きしません。
つみたてNISAは積立期間が20年もあります。半年~1年に1回程度の確認で充分ですので、長期的な目線でじっくりと育てていきましょう。
多くの方にとって、つみたてNISAを始めるときの最初のハードルになるのが「金融機関選び」ではないでしょうか。
金融機関によって、扱っている投資信託の種類や数、使い勝手などが違います。ここからは、何を見てどうやって選べばいいのか、つみたてNISA口座の金融機関の選び方について解説します。
つみたてNISA口座を開設する金融機関を選ぶときは、次の3つのポイントをチェックしてみましょう。
金融機関はあとから変更することもできますが、手間も時間もかかります。「なんとなく」で決める前によく比較して、最初から自分に合った金融機関を選んでおきたいところです。
金融機関ごとにサービス内容が異なります。以下のような点をチェックして、自分にとって使い勝手のよい金融機関を探してみましょう。
<つみたてNISAでできる設定>
など
たとえばマネックス証券では、一般的な「毎月積立」だけでなく「毎日積立」も選べます。auカブコム証券では、毎月の積立日を投資信託ごとに設定することもできます。SBI証券では非課税枠を使い切るための「つみたてNISAギリギリ注文」という注文方法が選べます。
最低投資金額は、1回の積立につき100円~1万円としているところが多いです。
<サポート体制>
など
サポート体制は、特に初心者にとって気になるポイントではないでしょうか。直接店頭で相談できるか、電話の相談窓口が平日の日中以外もつながるか、公式サイト上で参考になる情報や動画セミナーなどが公開されているかなどをチェックしておくと安心です。
たとえばイオン銀行は、店舗窓口もコールセンターも年中無休で、店によっては20時ごろまで相談を受け付けている場合もあります。
つみたてNISAは、投資で出た利益が非課税になるという点だけでもおトクなのですが、金融機関や利用方法によってはさらにおトクに利用できます。
たとえば楽天証券でつみたてNISAを始めて、積立分を楽天カードで支払うように設定すると、楽天ポイントを獲得できます。
普段利用しているサービスや貯めているポイントに関連したものを利用するのが、おトク度をアップさせるコツです。
ちなみに、つみたてNISAでは金融機関ごとの手数料の差がほぼありません。「手数料が安いからこっちの方がおトク!」ということにはならないでしょう。
金融機関によって、つみたてNISAで選べる投資信託の種類や数が違います。投資する商品をすでに決めている場合は、それを選択できる金融機関を探しましょう。
また具体的な商品を決めていない場合は、今後いろいろな希望にあわせて選べるように、なるべく取り扱っている商品数が多い所を選んでおくのがおすすめです。
1種類しか選べない金融機関もあれば、10種類程度のところもありますし、100種類以上のところもあります。150種類以上あればかなり選択肢が多い方といえるでしょう。
ここでは、主要な金融機関ではどのような違いがあるのか、一目でわかるよう比較表にしています。
つみたてNISAで取り扱っている商品数が150種類以上ある金融機関だけに絞って6社ご紹介しますので、金融機関選びの参考にしてみてくださいね。
※この表は横にスクロールします
金融機関名 | 取扱 銘柄数 |
買付 手数料 |
積立 頻度 |
最低 積立 金額 |
コールセンターの営業日時 | 特徴 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
通常 | 専用サービス | ||||||
SBI証券 | 183本 | 0円 (無料) |
毎日 毎週 毎月 |
100円 | 平日 8:00~17:00 (年末年始を除く) |
土日 9:00~17:00 (年末年始・祝日を除く) |
三井住友カードのクレカ積立でVポイントが貯まる |
楽天証券 | 181本 | 0円 (無料) |
毎日 毎月 |
100円 | 平日 8:30~17:00 (年末年始、祝日を除く) |
土日 9:00~17:00 (年末年始を除く) |
楽天カードによる決済で楽天ポイントが貯まる |
マネックス証券 | 154本 | 0円 (無料) |
毎日 毎月 |
100円 | 平日 8:00~17:00 | - | 積立残高に応じてマネックスポイント(Tポイントなどに移行可能)が貯まる |
松井証券 | 176本 | 0円 (無料) |
毎日 毎月 |
100円 | 平日 8:30〜17:00 | - | 投資信託の保有金額に応じて現金還元または松井証券ポイントが貯まる |
auカブコム証券 | 176本 | 0円 (無料) |
毎月 | 100円 | 平日 8:00~16:00 (年末年始を除く) |
- | 積立投資でPontaポイントが貯まる |
SMBC日興証券 | 158本 | 0円 (無料) |
毎月 | 1,000円 | 平日 9:00~18:00 土曜 9:00~17:00 (年末年始、祝日を除く) |
- | 積立金額に応じてdポイントが貯まる (ダイレクトコース限定) |
つみたてNISAの金融機関としていくつもの候補が出てきて、混乱してしまったかもしれません。
前述の金融機関の中でも、特に初心者でも使いやすくておすすめなのは「楽天証券」です。
つみたてNISAで取り扱っている商品数は180本以上と、数ある金融機関の中でもトップクラスの多さです。それだけ選択肢が多くても迷わずに済むよう、希望に合った投資信託を探しやすい検索ツールも用意されていますよ。
また、楽天証券はつみたてNISAで楽天ポイントを貯めたり使ったりすることができる点も大きなメリットです。楽天カードや楽天市場などをよく利用する人は、特におトクに使えるでしょう。
つみたてNISAのための口座を用意できたら、次はいよいよ実際にお金を投入する投資信託を選んでいきます。
投資信託にもいろいろな種類がありますので、何をどう見て選べばいいのか迷ってしまうかもしれません。ここからは、投資信託を選ぶときにチェックしておきたいポイントについて見ていきましょう。
1つめのポイントは運用手法です。投資信託にはおもに「インデックス型(パッシブ型)」と「アクティブ型」の2種類があります。
どちらのタイプなのかによって、その投資信託が目指しているものが違います。
・インデックス型(パッシブ型)
……日経平均など特定の指標に連動した値動きになることを目指している。
・アクティブ型
……特定の指標を上回る値動きになることを目指している。
インデックス型が市場平均並みの利益を出すことを目標とするのに対し、アクティブ型はその名のとおり、より積極的に利益を狙いにいきます。
アクティブ型は運用がうまくいけばインデックス型よりも高いリターンを狙えます。ただ、プロが運用するといっても必ずしも目標どおりの好成績を出せるわけではありません。
また、アクティブ型はインデックス型より1つ1つの企業の見極めに時間をかけたり人手を割いたりしていることが多く、コストが高くなりがちです。
ざっくり言うと、低コストでそこそこの利益を狙うインデックス型、コストとリスクと引き換えに高い利益を狙うアクティブ型というイメージです。自分の考えに合うタイプを選ぶべきですが、投資初心者にはインデックス型のほうがおすすめです。
投資信託は、いろいろな投資先の集合体です。同じ「投資信託」というカテゴリーの中にも、日本企業の株式を中心に投資しているものもあれば、外国の国債を中心に投資しているものもあります。
どこの何に投資しているかによって、値動きのしかたも期待できる運用成果も違います。つみたてNISAで選べる投資信託には、たとえば以下のような種類があります。
アセットクラス (どこの何に投資するか) |
特徴 |
---|---|
国内株式 | 日本企業の株式をメインに投資。 日経平均株価やTOPIXに連動するものも多い。 |
先進国株式 | 欧米など世界のなかでも特に経済が発展している国の企業の株式が中心。日本が含まれる投資信託と含まれない投資信託がある。 |
新興国株式 | ブラジルやインドなどまだ経済が発展しきっていない、これからの成長が見込める国の株式が中心。 |
全世界株式 | 世界中の企業の株式が対象。先進国株式と新興国株式のどちらも含まれる。 |
バランス型(複合資産) | 全世界株式よりさらに対象が広い。世界中の企業の株式、債券、不動産などさまざまものが含まれる。プロがバランスを決めてそれらを組み合わせている。 |
一般的に、新興国は先進国よりもハイリスク・ハイリターンな傾向があります。新興国株式は値動きが激しめなので、投資初心者がこれ1種類だけに全力で投資するのはあまりおすすめしません。
組み合わせやバランスを自分で考えて選ぶのが面倒だという人は、自動的に幅広い投資を実践できるバランス型を1本持っておくというのも1つの方法です。
投資信託には「信託報酬」という費用がかかります。これは投資信託の運用や管理かかる手数料のようなもので、その投資信託を保有しているあいだずっとかかり続けます。
つみたてNISAでは、長ければ20年間ずっと投資し続ける人もいます。信託報酬の違いは最初はほんのわずかに見えても、長い目で見ると「塵も積もれば山となる」です。必ず事前に確認するようにしましょう。
信託報酬は運用手法や投資対象によっても差がありますので、たとえば「国内株式×インデックス型」など同カテゴリー内で比較してみて、信託報酬が安いもの(数字が小さいもの)を探すのがおすすめです。
投資信託の運用報告書、証券会社の公式サイト、「つみたてNISAナビ」などには、投資信託ごとの過去の運用実績が掲載されています。
こうした情報をかんたんに検索・比較できますよ。
過去に運用がうまくいっていたからといって今後もそうなるとは限りませんが、判断材料の1つにはなるでしょう。
ここからは、具体的な投資信託を4つ例に挙げて詳しく見ていきます。今回は特に初心者向けに、リスクとコストを抑えて投資しやすいよう以下の基準で選んでみました。
それでは1本ずつ見ていきましょう。
(出典:つみたてNISAナビ)
運用手法 | インデックス型 (TOPIXとの連動を目指している) |
---|---|
アセットクラス (どこの何に投資する?) |
国内株式 |
信託報酬 (実質コスト) |
0.154% |
つみたてNISAでこの投資信託を選べる金融機関の例 | SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、PayPay銀行など |
「<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド」は、その名のとおりTOPIXに連動した値動きを目指すインデックス型の投資信託です。
TOPIXとは「東証株価指数」のことで、東証一部に上場しているすべての企業の株式の値動きを指数化したものです。日本経済の動向を反映するため、投資初心者でも日々のニュースなどで情報を得やすく、どんな値動きをしているのか把握しやすいでしょう。
この投資信託は「TOPIX×インデックス」の中では信託報酬が最安値クラスです。さらにその最安値クラスの中で比べても、以下のような特徴があります。
上記のような特徴は、投資信託を選ぶうえでプラスに働きやすいです。
(出典:つみたてNISAナビ)
運用手法 | インデックス型 (S&P500との連動を目指している) |
---|---|
アセットクラス (どこの何に投資する?) |
米国株式 |
信託報酬 (実質コスト) |
0.0968% |
つみたてNISAでこの投資信託を選べる金融機関の例 | SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、PayPay銀行など |
「eMAXIS Slim」は信託報酬が低めに設定されていて低コストで投資できることで人気のシリーズです。
そのシリーズの中でもこれは、先進国株式よりもさらにピンポイントに絞った「米国株式」が投資対象です。米国株式市場の動向を反映するS&P500という指標に連動した値動きを目指しています。
米国株式はアマゾン、アップル、マイクロソフトなど急成長を遂げて世界的に有名になった会社がいくつも含まれ、基本的に右肩上がりになっているため投資家に人気があります。
この投資信託は「米国株式(S&P500)×インデックス」の中でも特に信託報酬が安いこともあり、楽天証券ではすべての投資信託のなかで「買付・積立ランキング1位」に輝いています(※2022年1月現在)。
(出典:つみたてNISAナビ)
運用手法 | インデックス型 (FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスとの連動を目指している) |
---|---|
アセットクラス (どこの何に投資する?) |
全世界株式 |
信託報酬 (実質コスト) |
0.1102% |
つみたてNISAでこの投資信託を選べる金融機関の例 | SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、PayPay銀行など |
「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))」は、日本を含む全世界の企業の株式を対象としています。これ1本で世界中のさまざまな株式に分散して投資しているのと同じ効果を得られるでしょう。
この投資信託も、同ジャンルのほかの投資信託と比べて信託報酬が特に安いのが特徴です。さらにそれだけではなく、直近の運用実績は同ジャンル内では高めの水準になっています。
(出典:つみたてNISAナビ)
運用手法 | インデックス型 (各資産クラスの代表的な指数との連動を目指している) |
---|---|
アセットクラス (どこの何に投資する?) |
バランス型 |
信託報酬 (実質コスト) |
0.154% |
つみたてNISAでこの投資信託を選べる金融機関の例 | SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、みずほ証券など |
「たわらノーロード バランス(8資産均等型)」は、これ1本で国内株式、国内債券、先進国株式、先進国債券、新興国株式、新興国債券、国内リート(不動産)、先進国リート(不動産)の8つのアセットクラスに投資できます。
「8資産均等」なので、100%÷8資産=12.5%ずつのバランスを目安に運用されています。8資産に均等に投資する投資信託はほかにもありますが、信託報酬の低さと過去の運用実績の高さから今回はこちらをピックアップしました。
ちなみに、同じ「たわらノーロード バランス」の中でも「積極型」「安定型」といったタイプもあります。自分の希望に合いそうなものをチェックしてよく比較してみるのもおすすめです。
ここからは、つみたてNISAを利用するうえで知っておきたい注意点について解説します。あとから「こんなはずでは!」とならないよう、しっかりチェックしておきましょう。
NISA制度には「NISA(一般NISA)」と「つみたてNISA」があり、どちらか一方しか選べません。
細かい違いは「一般NISAとは何が違う?」の段落で解説しています。
どちらも投資で出た利益が非課税になるという点は同じですが、つみたてNISAは長期間にわたって少しずつコツコツと投資信託に投資していく人のための制度です。
一般NISAは「もう少し幅広い選択肢から投資先を選びたい」「もう少し大きい金額を投資に回したい」など、より自由度を求める人に向いています。
あとから「一般NISA⇒つみたてNISA」または「つみたてNISA⇒一般NISA」に変更することも可能ですが、手続きに手間がかかる、年に1回しかできないなどのデメリットがあります。あらかじめよく考えて選んでおきたいですね。
つみたてNISAでは年間40万円の「非課税投資枠」を利用できます。この枠はいったん使うと消滅し、復活することはありません。
たとえば40万円で投資信託を購入して、その直後に同じ投資信託を40万円で売却した場合、資産額は変わらず何も変化がないように見えますが、枠は使い切っています。
その年はもう非課税での投資はできませんので、非課税で投資したいなら翌年にまた40万円の枠が付与されるまで待つ必要があります。
非課税枠は、もし使い切らずに余ったとしても翌年に繰り越せません。
たとえば年間40万円の枠のうち「今年は30万円分しか投資しなかった」という場合でも、来年の非課税枠が50万円になることはありません。
投資は無理のない金額で取り組むのが鉄則です。ただ、しっかり投資に回しても問題ないような家計なら、なるべく40万円の枠を使い切るようにしたほうが、つみたてNISAの恩恵を受けやすくなるでしょう。
つみたてNISAでは、投資信託への投資を行います。
「投資信託は投資のプロが運用する商品」「つみたてNISAは金融庁が認めた投資信託しか選べない」など安心につながる要素はあるものの、だからといって「必ず儲かる」わけではありませんので注意しましょう。
場合によっては、投資した金額よりも最終的に受け取る金額のほうが少ない「元本割れ」状態になるかもしれません。
その可能性を少しでも減らすためにも、短期的な値動きに一喜一憂して売買を繰り返すのではなく、長い目で見てじっくりコツコツ取り組んでいきましょう。
つみたてNISA口座は1人1口座だけです。複数の金融機関で口座を開設して年間40万円×口座分の非課税投資枠をもらおうとしても、それはできません。
つみたてNISA口座は、開設するときに税務署の審査があります。税務署では他社ですでにつみたてNISA口座を開設していないかチェックしていますよ。
ちなみに「1人1口座」なので、たとえば夫婦それぞれが申し込んで、協力して合計80万円の非課税投資枠の範囲内で投資することは可能です。「夫はつみたてNISA、妻は一般NISA」など役割を分けて、どちらの制度の恩恵も受けられるようにするというのも1つの方法です。
つみたてNISAの金融機関は1社しか選べません。途中で変更することは可能ですが、面倒な手続きが発生します。たとえばイオン銀行の公式サイトでは以下のような手順が紹介されています。
他社から当行への変更には下記お手続きが必要となります。
※ (3)までのお手続きはNISA口座を開設しようとする年の前年10月1日からその年の9月30日の間に行う必要があります。
出典:イオン銀行
なるべく変更せずに済むよう、初めから慎重に比較・検討して選んでおくのがおすすめです。
つみたてNISAはロールオーバーができません。ロールオーバーとは、非課税期間(つみたてNISAの場合は20年)が終わったあと、保有している商品を翌年の非課税枠に移換することです。
一般NISAではこのロールオーバーが認められているため、非課税期間の5年が過ぎてもそのときの状態をキープしたまま、さらに次の年にも非課税期間を延長できます。
一方、つみたてNISAでは20年経ったら、それまで購入してきた投資信託を売却して現金化する、税金がかかる口座で投資を継続するなど、どうするのか選択を迫られます。
最後に、つみたてNISAに関するよくある質問とその回答をまとめました。
①つみたてNISAの口座は複数作れる?
つみたてNISAの口座は1人1口座だけです。もし複数の金融機関で口座開設の手続きをしたとしても、税務署が重複がないか確認しているため、どこか1つでしか開設できない仕組みになっています。
ちなみに、つみたてNISAと一般NISAをあわせて1人1口座なので、両方の制度を同時に利用することはできません。
②つみたてNISAとiDeCoは何が違うの?
近年、つみたてNISAと並んで注目を集めているのが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。
この2つは「投資に関する税制優遇制度」で「長期的にコツコツ積み立てていくタイプの投資に使える」という点では同じです。
では何が違うのか、以下の表で確認しておきましょう。
つみたてNISA | iDeCo | |
---|---|---|
税制優遇 | 投資で得た利益が非課税 | ・投資の運用益が非課税 ・掛金の全額が所得控除 ・受け取り時も控除あり |
投資できる金額 | 年間40万円 | 月額1万2,000円 (年間14.4万円) ~ 月額6万8,000円 (年間81.6万円) ※職業などによって違う |
投資できる期間 | 最長20年 | 60歳まで |
投資できる商品 | 金融庁が「長期・積立・分散投資」に適していると認めた投資信託 | 定期預金や保険などの元本確保型商品や投資信託 |
お金の引き出し | いつでも引き出せる | 原則60歳まで引き出せない |
iDeCoは原則60歳まで引き出せないという制限がある代わりに、つみたてNISAよりさらに税金面で優遇されています。
iDeCoは老後のための資金準備に特化した制度です。そのため、自分が積み立てたお金でも原則60歳まで引き出すことができません。一方、つみたてNISAはいつでも自分が好きなタイミングで現金化して引き出せます。
60歳まで引き出せないのは一見デメリットに感じますが、見方を変えれば「つみたてNISAと違って気軽に引き出せないぶん、一度始めてしまえば半強制的に老後資金を準備できる」と捉えることもできます。
ちなみに、iDeCoではお金の引き出しに制限があるものの、積立を一時的に停止したり金額を変更したりすることは可能です。
つみたてNISAと一般NISAは両方同時に取り組むことができませんが、つみたてNISAとiDeCoならできます。
どちらがいいか迷ったら、どちらも始めてみるというのも1つの方法です。つみたてNISAは教育資金用、iDeCoは老後資金用といった使い分けもできますね。それぞれの制度の特徴を押さえてうまく利用しましょう。
つみたてNISAは、長期間にわたってコツコツと積立投資に取り組みたい人のための非課税制度です。近年、投資初心者や若い世代からも注目されています。
つみたてNISAを始めるには、まず専用の口座を用意します。銀行や証券会社をはじめさまざまな金融機関で取り扱いがありますが、1人1社しか選べず変更にも手間がかかるため、慎重に比較して選びましょう。
たとえば楽天証券はつみたてNISAでえらべる投資信託の数が多く、楽天ポイントを貯めたり使ったりできるのでおトクです。
実際に投資する投資信託を選ぶときも、投資対象や信託報酬(コスト)など重要な情報は必ず確認・比較しましょう。この記事では以下の4つの投資信託について取り上げました。
毎月1万円ずつ貯めるとして、利子のつかないタンス預金なら20年後には240万円、定期預金で0.01%の利子がついたとしても240万2,392円です。これがもしつみたてNISAを利用して年平均3%の利回りで運用できれば、20年後には約88万円増えて約328万円になります。
少しずつでも、長い期間をかければ大きな差になります。つみたてNISAは月100円からでもスタートできていつでも引き出せる気軽さも魅力です。この機会に、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
いざ、つみたてNISAを始めよう!と思っても、数ある金融機関の中からどこを選べばよいか迷いますよね。そこで、多くの人に支持されている金融機関を、独自のサービスやおすすめ情報と併せてご紹介します。
SBI証券
松井証券
楽天証券
auカブコム証券
SUSTEN
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【2022年版】つみたてNISA(積立NISA)のおすすめ口座と銘柄を解説!【金融知識0からわかる】
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