NISA口座は、1人1口座しか開設できませんが、途中で金融機関を変更したりNISAからつみたてNISAに変更したりすることも可能です。
この記事では、「すでにNISA口座を持っているけど変更したい」と思っている人に向けて、具体的なやり方や知っておきたいデメリットや注意点について解説します。
NISA口座の変更先としておすすめの金融機関も複数ご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
ここからは、NISA口座の金融機関を変更する手続きについて、具体的に見ていきましょう。
続いて、SBI証券・楽天証券・松井証券の3社を例に挙げ、各社での手続き方法を解説します。
まずは、NISA口座を他社からSBI証券に変更するための手続き方法を紹介します。以下の5つのステップを順番にクリアしていきます。
SBI証券では、金融機関変更でNISA口座を開設するには、まず証券総合口座を保有している必要があります。証券総合口座とは、運用商品を売買したりそのための資金を入出金したりできる口座のことです。
オンラインで手続きしてすぐに開設でき、手数料や維持費などはかかりません。まだ証券総合口座を持っていない人は、その申し込みからスタートしましょう。
証券総合口座を用意できたら、マイページから「NISA・つみたてNISA 金融機関変更によるSBI証券への口座開設お申し込み」を選択し、必要な書類を取り寄せましょう。
SBI証券から取り寄せた書類に記入したもの、マイナンバーカードなどの本人確認書類、もともとNISA口座を開設していた金融機関から取り寄せた書類(勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書」)の3つをそろえて返送すれば、あとは待つだけです。
トータルで3週間程度かかることもありますので、時間に余裕を持って進めたいですね。
次に、楽天証券に変更したいときはどのような手順になるか見ていきましょう。
楽天証券の手続き方法や必要書類は、SBI証券とだいたい同じです。ただ、楽天証券は証券総合口座とNISA口座の同時開設が可能です。まだ証券総合口座を持っていない人でも、口座開設の手続きが一度で済ませられて便利です。
楽天証券では「すべての手続きが終わるまで4週間~6週間かかる」とされていて、公式サイト上で早めの手続きを呼び掛けています。
最後に、松井証券に変更するときの手続きは以下のとおりです。
松井証券は、先述の楽天証券の手続きとほぼ同じ手順で進められます。公式サイト上には所要時間について具体的な記載はありませんが、おおむね3週間程度はかかると思って早めに進めておきましょう。
ここからは、NISAからつみたてNISAに切り替えたいときの変更手続きについて見ていきましょう。以下の2パターンに分けて解説します。
NISAからつみたてNISAへの変更は、同じ金融機関内であればとてもかんたんに手続きできます。たとえば以下のような手順です。
金融機関によっては上記のようなステップだけで完了できるので、手元のスマホだけで所要時間5分程度で済ませられます。
ただ、「ステップ③」として自宅に書類が届いて返送を求められる金融機関もありますし、最初から書面でのやりとりしかできない金融機関もあります。
自分が利用している金融機関ではどんな手続きが必要で、どこまで手続きしたら完了になるのか、必要な作業が終わったのか必ず確認するようにしましょう。
ちなみに、この変更手続きは金融機関の変更と同様、年1回だけ1年単位でしかできませんので注意しましょう。
別の金融機関に乗り換えて、さらに同時にNISAからつみたてNISAに変更する、ということも可能です。その場合、たとえば以下のような手順になります。
まずは、先述の「NISA口座の金融機関を変更する手続き方法」で紹介した手順と同じく、STEP①~④で金融機関を変更します。必要な書類も同じで、以下の3点です。
金融機関の変更が終わったら、次にNISAからつみたてNISAに変更する手続きをします。ここからは「同じ金融機関で、つみたてNISAへ変更する手続き方法」で先述したとおりの手順で進めます(STEP⑤・⑥)。
手順が多く、どうしても手間と時間がかかりますので、時間に余裕を持ってミスのないよう確認しながら少しずつ進めていきましょう。
NISA口座は複数の金融機関で開設することはできませんが、途中で金融機関を変更することは可能です。ただ、いつでも何度でも自由に変更できるわけではありません。以下のような点に注意しましょう。
2015年以降、NISA口座の金融機関は変更可能になりました。ですが、NISA口座の変更のチャンスは年に1回だけです。
また、1年単位での変更になりますので、1月以降一度でもNISA枠を使って投資していた場合は、その年の変更はできず、別の金融機関を使い始めることができるのは翌年からになります。
変更手続きをするタイミングにも注意が必要です。NISA口座の金融機関変更ができるのは「前年 10 月1日からその年の9月 30 日まで」とされています。
ただ先述のとおり、1月以降一度でもNISA枠を使っていた場合はその年中の変更ができません。その場合は、10月以降に手続きすることで翌年からの変更になります。
NISA口座の金融機関は変更できます。でも、変更することで何かデメリットはないのかと不安に思う人もいるでしょう。
ここでは、NISA口座の金融機関変更のデメリットについて解説します。おもに以下の2つが挙げられます。
【NISA口座変更のデメリット】
1つずつ詳しく見ていきましょう。
NISAの「ロールオーバー」とは、非課税の期間(5年)を経過したあと、資産を新しい非課税枠に移換させることです。NISAでは、ロールオーバーの手続きをすることで、今までの資産を継続して保有しながら再度5年の非課税枠が利用できるようになります。
出典:金融庁「一般NISAの基礎知識」
しかし、ロールオーバーは同一の金融機関でしかできません。
NISAでは途中で金融機関を変更した場合、「変更前」の金融機関から「変更後」の金融機関に資産を持っていくことができません。
変更前の金融機関に残った資産は、そのまま運用し続けることはできます。ただ、当初の非課税期間(5年)が経過してもっと非課税期間を延長したいと思ったら、あらためて金融機関を変更する(元の金融機関に戻す)手続きをしてロールオーバーする必要があります。
ちなみに、ロールオーバーしなかった場合、元の金融機関のNISA口座に入っている期間終了(5年経った)資産は、税金がかかる口座に移管するか売却することになります。
以上のことから、NISA口座の金融機関変更の際には、あらかじめ商品ごとの残りの非課税期間を把握し、ロールオーバーしたいかを検討しておくのがおすすめです。
NISA口座の金融機関を変更した場合、それまで保有していた商品は非課税期間内であれば旧口座で引き続き非課税で保有し続けることができます。ただし、新しい口座に持っていくことはできません。
過去に投資した商品を旧口座で保有し続けながら新口座でも取引をしていくとなると、管理がしにくくなる点もデメリットと言えるでしょう。
そのため金融機関を変更したい場合は、現在保有している商品をどうするか(保有し続けるのか売却するのかなど)も考えておきたいところです。
NISA口座を変更するときには、前述のようなデメリットを考慮する必要があります。
ただ、今利用しているNISA口座に対して「選べる商品が少ない」「手数料が高い」といった不満を持っている人は、デメリットを上回るメリットを享受できる可能性が高いため、新たな金融機関への変更を積極的に考えてみましょう。
選べる商品も手数料も、金融機関ごとに差があります。以下のような人は、ほかの金融機関と比較してより有利なNISA運用ができるところを探すのがおすすめです。
金融機関を変更することで、選べる商品の幅が今より広がる可能性があります。特に、銀行や信用金庫でNISA口座を開設した人は、株式の取り扱いがなかったり投資信託の数も少なかったりすることが多いです。
株式や投資信託などへの投資にもっと本格的に取り組みたいなら証券会社、なかでもネット証券(インターネット専業の証券会社)への変更を検討するのがおすすめです。
証券会社では、銀行や信用金庫ではできない株式投資にもチャレンジできます。また、ネット証券は、銀行や全国に店舗を持つ対面型の証券会社よりも投資信託の取り扱い数が豊富な傾向がありますので、より多くの選択肢から自分に合ったものを選びたいという人におすすめです。
金融機関 | NISA口座で選べる 投資信託の数 |
|
---|---|---|
ネット証券 | SBI証券 | 2577本 |
楽天証券 | 2588本 | |
松井証券 | 1584本 | |
店舗型証券会社 | 500本~1000本程度 | |
銀行 | 100本~500本程度 |
手数料は地味ですが手痛い出費です。今のNISA口座での取引に手数料がかかっている人は、ネット証券を中心に手数料無料の金融機関を探してみてはいかがでしょうか。
株式投資なら「国内株式:売買手数料無料」としている金融機関、投資信託なら信託報酬(保有中にかかり続ける手数料)の低いインデックスファンドを多く扱う金融機関がおすすめです。
特にNISA口座で株式を運用したい人は、現在の金融機関の手数料を他社と比較してみましょう。株取引には通常は売買手数料がかかりますが、金融機関によって差があるのが現状です。
SBI証券、楽天証券、松井証券などのネット証券を中心に「日本株の売買手数料無料」「投資信託の買付手数料無料」といったところも増えているため、現状利用している金融機関で手数料が発生しているなら、変更を検討する価値があるでしょう。
先述のとおり、NISA口座の金融機関を変更するのにおすすめなのは「ネット証券」です。オンラインでかんたんに取引できるだけでなく、取り扱い商品が多く手数料が安い傾向があるからです。
ここからは、数あるネット証券の中でも取扱商品が豊富で取引手数料が安いところを、次の5社に絞って紹介します。
まだ変更先を迷っている人は、どの証券会社が自分に合っていそうか確認してみましょう。
証券会社 | 取扱商品 | NISAでの IPO取扱 (2021年実績) |
株式 売買手数料 |
投資信託の 買付手数料 |
---|---|---|---|---|
SBI証券 | 国内株:〇 | 〇 (122社) |
無料 (※単元未満株の売却は対象外) |
無料 |
外国株:〇(米国、香港、韓国、ロシア、ベトナム、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア) | ||||
投資信託:〇 (2577本) |
||||
楽天証券 | 国内株:〇 | × | 無料 | 無料 |
外国株:〇 (米国、中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア) |
||||
投資信託:〇 (2588本) |
||||
松井証券 | 国内株:〇 | 〇 (56社) |
無料 | 無料 |
外国株:〇 (米国) |
||||
投資信託:〇 (1584本) |
||||
マネックス証券 | 国内株:〇 | 〇 (72社) |
無料 | 無料 |
外国株:〇 | ||||
投資信託:〇 (1225本) |
||||
auカブコム証券 | 国内株:〇 | 〇 (42社) |
無料 | 無料 |
外国株:× | ||||
投資信託:〇 (1522件) |
例に挙げた大手ネット証券は、手数料はどこも安くほぼ差がありませんが、取り扱っている商品にそれぞれ特色があります。また、使い勝手や導入しているポイント制度などもさまざまです。1社ずつ詳しく見ていきましょう。
証券会社 | 取扱商品 | NISAでの IPO取扱 (2021年実績) |
株式 売買手数料 |
投資信託の 買付手数料 |
---|---|---|---|---|
SBI証券 | 国内株:〇 | 〇 (122社) |
無料 (※単元未満株の売却は対象外) |
無料 |
外国株:〇 (米国、香港、韓国、ロシア、ベトナム、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア) |
||||
投資信託:〇 (2577本) |
SBI証券はネット証券の中で最大手の企業です。NISAで選べる商品の幅が広く、外国株やIPO数を始めどれを取ってもトップクラスの数を誇ります。投資初心者からベテランまで使いやすいでしょう。
<SBI証券のNISA口座おすすめポイント>
証券会社 | 取扱商品 | NISAでの IPO取扱 (2021年実績) |
株式 売買手数料 |
投資信託の 買付手数料 |
---|---|---|---|---|
楽天証券 | 国内株:〇 | × | 無料 | 無料 |
外国株:〇 (米国、中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア) |
||||
投資信託:〇 (2588本) |
楽天証券はSBI証券同様、人気の高いネット証券です。楽天ポイントが貯まる、楽天ポイントで投資できるという特徴があるため、楽天市場や楽天カードなど同系列のサービスをよく利用する人には特にメリットが大きくなります。
<楽天証券のNISA口座おすすめポイント>
証券会社 | 取扱商品 | NISAでの IPO取扱 (2021年実績) |
株式 売買手数料 |
投資信託の 買付手数料 |
---|---|---|---|---|
松井証券 | 国内株:〇 | 〇 (56社) |
無料 | 無料 |
外国株:〇 (米国) |
||||
投資信託:〇 (1584本) |
松井証券はネット証券ながら、創業100年を超える老舗です。外国株は米国のみ、投資信託の本数も先述の2社に比べると少ないですが、電話でのサポートや信託報酬(投資信託の保有時にかかる手数料)の一部をポイントや現金で還元するサービスなどに定評があります。
<松井証券のNISA口座おすすめポイント>
証券会社 | 取扱商品 | NISAでの IPO取扱 (2021年実績) |
株式 売買手数料 |
投資信託の 買付手数料 |
---|---|---|---|---|
国内株:〇 | 〇 (72社) |
無料 | 無料 | |
外国株:〇 (米国、中国) |
||||
投資信託:〇 (1225本) |
マネックス証券のNISAは、米国株と中国株のラインアップが充実しています。米国株は5000銘柄近く、中国株はほぼ全銘柄を取り扱っていますので、これらの国の株式に投資したい人に特に役立つでしょう。
<マネックス証券のNISA口座おすすめポイント>
証券会社 | 取扱商品 | NISAでの IPO取扱 (2021年実績) |
株式 売買手数料 |
投資信託の 買付手数料 |
---|---|---|---|---|
国内株:〇 | 〇 (42社) |
無料 | 無料 | |
外国株:× | ||||
投資信託:〇 (1522件) |
auカブコム証券は、auでおなじみのKDDI系列×三菱UFJ系列のネット証券です。今のところ外国株の取り扱いはありませんが、「NISA割」や独自のポイント制度「資産形成プログラム」などおトクなサービスがあります。auユーザーでなくでも利用できます。
<auカブコム証券のNISA口座おすすめポイント>
NISAとは?
NISAとは、投資の利益が非課税になる税制優遇制度のことです。一般NISAの特徴は以下のとおりです。
・株式や投資信託などの運用が対象
・年間120万円が非課税枠として付与される
・非課税期間は最長5年間
・積立投資もスポット投資も対象
・株式や投資信託などの運用が対象
……NISAは日本株、外国株、株式投資信託、ETF(上場投資信託)などさまざまな金融商品への投資が対象になります。これらの投資がうまくいって利益が出ても、NISAを利用していれば通常約20%かかる税金が非課税で済みます。
・年間120万円が非課税枠として付与される
・非課税期間は最長5年間
……最長5年間にわたって毎年120万円ずつ、合計600万円まで非課税で投資できます。
・積立投資もスポット投資も対象
……「つみたてNISA」は積立投資しかできませんが、一般NISAは積立投資(定期的に決まった金額ずつコツコツ投資)でもスポット投資(好きなタイミングで好きな金額を投資)でもどちらでも対象になります。
NISAのデメリットは?
NISAのデメリットは以下の4点などが挙げられます。
・1人1口座しか持てない
・損益通算や繰越控除ができない
・つみたてNISAより非課税期間が短い
・iDeCoより節税効果が低い
・1人1口座しか持てない
……NISAは1人1口座だけなので、たとえば「2つの金融機関で口座開設して非課税枠を2倍にする」といったことはできません。また、NISAとつみたてNISAは同じ口座という扱いなので、どちらか一方しか選べません。
・損益通算や繰越控除ができない
……投資がうまくいかず損失が出た場合、確定申告することで税金の負担を抑えられる「損益通算」や「繰越控除」というしくみがあります。しかし、NISAではこれらのしくみが利用できません。
・つみたてNISAより非課税期間が短い
……NISAの非課税期間は5年ですが、つみたてNISAは20年です。長期的な運用に取り組みたい人は、つみたてNISAへの変更もあわせて検討してみましょう。
・iDeCoより節税効果が低い
……iDeCoもNISA同様、投資の税制優遇制度です。両者を比べると、NISAにはiDeCoと違いいつでもお金を引き出せるメリットがある一方、節税効果の高さではiDeCoに軍配が上がります。
NISA口座は、途中で金融機関を変更したり、NISAからつみたてNISAに変更したりすることができます。ただし、年1回しかできず、ロールオーバーや保有資産の移管ができないというデメリットもありますので、慎重に判断しましょう。
今のNISA口座より「もっと幅広い商品から選びたい」「もっと手数料を安くしたい」という人は、金融機関を変更することで希望を叶えられるかもしれません。いくつかの金融機関を比較して検討するのがおすすめです。
NISA口座の変更は、手続き自体はそれほど難しいものではありませんが、少々時間がかかる場合があります。変更先の金融機関を決めたら、早速手続きを進めていきましょう。
いざ、つみたてNISAを始めよう!と思っても、数ある金融機関の中からどこを選べばよいか迷いますよね。そこで、多くの人に支持されている金融機関を、独自のサービスやおすすめ情報と併せてご紹介します。
SBI証券
松井証券
LINE証券
楽天証券
auカブコム証券
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NISA口座の金融機関を変更する方法!つみたてNISAへの変更法も伝授
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最終的な投資決定は、各取扱金融機関のサイト・配布物にてご確認いただき、ご自身の判断でなさるようお願い致します。
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