株式投資の楽しみの一つとして、株主優待を期待する人もいると思います。ところで、NISA(一般NISA)制度を利用して株式投資を行った場合は、株主優待を受けられるのでしょうか。また、おすすめの銘柄についても気になるところです。
一方で、つみたてNISAで株主優待は受けられるのか気になる人もいるでしょう。この記事では、NISAやつみたてNISAの制度を利用して株主優待が受けられるのかやおすすめ銘柄について解説します。
目次
NISAとは、株式や投資信託などに投資して利益を受け取った利益が非課税になる制度です。通常は20.315%の税金がかかりますが、NISA口座を開設し、毎年一定額の範囲内で購入した場合には、株式や投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税になるのです。
毎年120万円までが非課税となるNISA(一般NISA)と、毎年40万円までの積立購入した投資信託から得られる利益が非課税になるつみたてNISAがあります。
株主優待とは、企業が株主に自社商品や商品券などのサービスといった優待品を贈る制度。上場企業のうち約1500社が株主優待制度を導入しています。
NISAに限らず、株主優待はその企業の株を持っている誰もが受けられるわけではありません。詳しくは後述しますが、株主優待を受けられる条件を満たす必要があります。
つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
つみたてNISAは年間40万円までを限度に、一定額を積み立てていく仕組み。非課税期間は最長20年間あるため、最大で800万円を非課税で運用できます。
つみたてNISAは一般NISAと異なり、購入できる商品が長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られています。そのため、つみたてNISAで個別株式を購入することはできず、結果として株主優待を受けることもできません。
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NISA(一般NISA)の制度を利用しながら株主優待を受けるには、次の3つの注意点を知っておく必要があります。
NISA口座は、特定口座および一般口座との損益通算ができません。
損益通算とは、その年の利益と損失を相殺すること。特定口座や一般口座で発生した利益や損失を相殺できます。
特定口座や一般口座とは利益に課税される、通常の投資で利用する口座のこと。当然ながらNISA口座とは別の口座です。
一般口座 | 特定口座 | NISA口座 | ||
---|---|---|---|---|
源泉徴収あり | 源泉徴収なし | |||
口座開設 | 複数可能 | 複数可能 | 1人1口座 | |
確定申告 | 要 | 不要 (源泉徴収) |
要 | 不要 |
特長 | ・確定申告によって複数口座の損益通算可能 ・損失は3年間繰り越し可能 |
・課税口座と 損益通算不可 |
通常、利益が出た口座には税金がかかりますが、他の口座で発生した損失を差し引くことで利益の額を減少させ、その分税額を抑えられます。
また、相殺した結果マイナスになった場合は、確定申告すればその損失を最大3年間繰り越して控除できます(繰越控除)。
NISAの非課税投資枠とは、その額まで購入した金融商品から生じる利益について非課税となる枠のこと。一般NISAでは年間120万円に設定されています。
つまり、100万円で購入した株式が200万円まで値上りし、それによって100万円の売却益を得たとしても、20.315%の税金を払う必要はなく、利益の100万円全てが手元に残る仕組みです。
気をつけなければならないのは、他の口座(特定口座や一般口座)と合わせて株主優待を受ける場合、非課税となるのはNISAの非課税枠である120万円で購入した部分のみになることです。
NISAのメリットである非課税投資枠は、一度売却してしまうと、その年はその額を使い切ることになってしまいます。
つまり、売却したからといって空いた非課税投資枠を再利用することはできません。また、未使用分の非課税投資枠を翌年に繰り越すこともできません。
そのため、1年の間に頻繁に売買を行う短期的な投資スタイルには向いていません。NISAでそのような短期的な売買を繰り返していると、すぐに非課税投資枠の上限に達してしまい、非課税の恩恵を受けられない可能性が高くなります。
短期的な売買を考えているなら、特定口座や一般口座などの課税口座を利用する方が向いているといえるでしょう。
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一般NISA口座で株主優待を受ける際には、次の点に注意するようにしましょう。
これらの点について詳しく解説します。
株主優待をもらえる条件は、銘柄ごとに異なります。
例えばマヨネーズで有名なキユーピー株式会社の株主優待の内容はグループ商品ですが、「権利確定日に100株(1単元)以上を半年以上継続して保有している」ことを条件としています。
さらに保有期間と所有株式数によって受け取れる優待内容が「1,000円相当~5,000円相当」などの違いがあります。
また、ショッピングセンター運営のイオンモール株式会社は、「権利確定日に100株(1単元)以上を保有している」ことが条件となっています。さらに3年以上保有している長期保有の株主に対しては優待内容が手厚くなっています。
一般的に、「権利付き最終日」までに株式を購入しないと株主優待は受け取れません。
また、権利確定日と権利付き最終日は異なります。
権利確定日とは、株主優待を受け取れる権利が確定する日のこと。権利付き最終日とは権利確定日の2営業日前をいいます。なお、その間の日を権利落ち日ということも覚えておきましょう。
例えば、11月30日が権利確定日だとすると、権利付き最終日と権利落ち日は以下のようになります。
つまり、権利確定日が11月30日の場合なら権利付き最終日の11月28日までに株式を購入しておかなければなりません。
ただし、注意したいのは権利付き最終日の直前は株価が上昇しやすいことです。
逆に権利付き最終日を過ぎると株価は下がる傾向にあるため、そのタイミングで次回の株主優待を視野に入れ、早めに購入しておいてもいいでしょう。
株主の権利は、同一名義であれば合算されるため別の口座で保有している株式があれば合算できます。
例えば、株主優待を受けられる条件が「権利確定日に500株以上保有している」ケースで考えてみましょう。この銘柄をNISA口座で200株を保有、別の課税口座で300株を保有している場合は、合算することで条件を満たすので株主優待を受けられます。
他の口座の株式を合算できることで、NISA口座の非課税投資枠を超える銘柄の購入や、保有株数の増加によって優待品がランクアップするなどのメリットを受けられます。
NISA口座では非課税投資枠が120万円までですので、その枠内で購入できない分については課税口座で保有できます。ただし、課税口座で保有している分について配当を受けたりする場合は、課税対象になる点に注意しておきましょう。
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株主優待でよく聞くのは、吉野家ホールディングスのサービス券や、日本取引所グループのQUOカード、オリエンタルランドの1日パスポートなどですが、まずその優待内容が自分の欲しいものかどうかを考えることが一番大切です。
NISA(一般NISA)で株主優待のおすすめ銘柄を選ぶ際のポイントは、「優待利回り」と「配当利回り」、そして「値上りが期待できそうか」の3つです。
続けて詳しく解説します。
優待利回りとは、株主優待を受けることでその株式の購入価格に対して得られる年間のリターンのことです。優待利回りは以下の式で求めます。
【優待利回り計算式】
優待利回り(%)=株主優待の価値(金額換算)÷投資金額(株価×株式数)×100
例えば、居酒屋「ミライザカ」や「焼肉の和民」を展開しているワタミ株式会社の優待品は、100株保有で年間8,000円相当の食事券です。
株価を1,050円と仮定すると、100株保有している場合の優待利回りは、8,000円÷(1,050円×100)×100=7.6%となります。
NISA口座では、非課税で購入できる額が限られています。そのため、優待利回りが高い方がよりお得に優待制度を利用できるということです。
配当利回りとは、購入した株価に対して年間でどれだけの配当を受けられるかを表すものです。次の式で求められます。
【配当利回り計算式】
配当利回り(%)=1株あたりの年間配当金額÷1株購入金額×100
配当利回りは株価情報を調べることで把握でき、日本郵船の配当利回りは24.23%です(記事公開日時点、以下同)。同じ海運業でも商船三井の配当利回りは17.80%ですので、日本郵船の方が株主にとって利益が出ている銘柄だと分かります。
株式の購入金額が同じなら、配当金額が大きければ配当利回りも大きくなり、配当金額が少なければ、配当利回りも小さくなります。
配当とは、企業が得た利益を株主に分配すること。配当利回りが高ければ、それだけ株主は利益が多くもらえることになります。そのため、配当利回りも合わせてチェックする必要があります。
NISA口座で得られる配当は非課税になりますので、なるべく配当利回りが高い方が非課税のメリットをより多く受けられます。
株式投資で得られる利益には売却益もあります。購入したときと比べ、株価が値上りした際に売却することで、その差額を利益として得られます。
通常、株の売却益については20.315%の税金がかかりますが、NISA口座ではどれだけ利益が出たとしても非課税です。
極端にいえば、120万円の非課税投資枠で購入した株式が値上りし、1,000万円で売却できたとしても、その売却益である880万円に対して税金はかかりません。
NISA口座の非課税投資のメリットは、売却益が非課税になるところにもありますので、できるだけ値上りが期待できそうな銘柄に投資をすることがメリットを多く受けるポイントです。
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最低株数でもらえる 内容 |
株主優待カード(返金率3%) |
---|---|
いくらでもらえる? | 27万8000円 (2022年11月19日時点) |
もらえる権利が 確定する月 |
2月・8月 |
イオンの株主優待カードは、持ち株数に応じた返金率が設定されており、最低株数の100株保有であれば3%の返金率です。毎日の買物で利用でき、半年に1度、100万円を上限に所定の返金率で返金されます。
返金率は3,000株以上の保有だと7%にも上りますので、かなりお得といえるでしょう。
さらに、「お客さま感謝デー」の割引特典(5%)とも併用できます。またイオンシネマやスポーツオーソリティなど、会計の際に株主優待カードを提示するとその場で割引や優待金額で利用できる店舗もあります。
また、1,000株以上保有している株主は「長期保有株主優待制度」の対象となり、保有株数に応じて2,000円~1万円のイオンギフトカードが贈られます。
普段イオンの店舗を利用する機会が多い人なら、保有しておいて損はない銘柄ではないでしょうか。
最低株数でもらえる 内容 |
3,000円相当の 自社オリジナルカタログ商品 |
---|---|
いくらでもらえる? | 51万1000円 (2022年11月19日時点) |
もらえる権利が 確定する月 |
3月 |
権利確定日は毎年3月31日で、株式を500株以上かつ1年以上継続して保有していることが株主優待を受ける条件です。
カタログギフトの優待内容は米や果物のほか、保存の効く商品も多くみられます。
ゆうちょ銀行の場合、株主優待の商品を受け取るのではなく、社会貢献活動団体への寄附も選択できます。商品を受け取るか、福祉活動や災害復興支援などの社会貢献活動団体への寄附を行うかを選べる点は他社にはない魅力といえるかもしれません。
株主優待はNISA制度を利用しながらでも受けることは可能です。ただし、利用できるのはNISA制度の中でも一般NISAであること(つみたてNISAでは不可)に注意が必要です。
また、株主優待を受けるには銘柄ごとの条件を満たす必要があり、保有株数の条件が必ず設けられています。
ただ、保有株数はNISA口座だけでなく特定口座や一般口座などの課税口座で保有している株数も合算できるため、NISA口座で購入できない部分については、他の口座で購入するなどで対応できます。
NISA口座は非課税で投資できるというメリットがありますので、そのメリットを十分に活かせる形での保有を考えることが大切です。
新NISAで株主優待はもらえる?もらえない?
2024年から開始される新NISAでも、現行と同様に株主優待をもらうことができます。
ただし、新NISAは1階部分と2階部分に分かれ、1階部分はつみたてNISAと同様の投資信託の購入に限られる予定です。2階部分で株式を購入できますが、年間非課税枠が102万円に下がる点に注意が必要です。
なお新NISAについては、公表されている制度内容が変わる可能性があるため、最新の情報に注意しましょう。新NISAについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
つみたてNISA(積立nisa)は個別株投資と併用できる?
併用は可能ですが、つみたてNISAで個別株投資はできません。
つみたてNISA口座では株式を購入することはできません。つみたてNISAと個別株投資の両方を行いたいなら、つみたてNISA口座では投資信託を購入し、別の課税口座で個別株式を購入する形になります。
その場合、個別株式は課税口座での保有するため、株式投資で利益が出た場合は課税対象となる点に注意しておきましょう。
いざ、つみたてNISAを始めよう!と思っても、数ある金融機関の中からどこを選べばよいか迷いますよね。そこで、多くの人に支持されている金融機関を、独自のサービスやおすすめ情報と併せてご紹介します。
SBI証券
松井証券
楽天証券
auカブコム証券
SUSTEN
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