米国株式インデックスファンドは、人気の高い投資信託の1つです。さまざまな種類があるため、「どんな商品を選べばいいかわからない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、米国株式インデックスファンドの選び方や初心者におすすめの銘柄を5つ紹介します。
目次
インデックスファンドとは、特定の株価指数に連動した投資成果を目指して運用される投資信託(ファンド)です。たとえば、「日経平均株価」のインデックスファンドを購入すると、日本を代表する上場企業225銘柄に投資できます。
米国株式インデックスファンドは米国の株価指数が投資対象です。1本購入するだけで米国の株式市場全体に投資できます。
米国株式インデックスファンドのメリットは以下の5つです。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
分散投資とは、資産運用のリスクを下げるための手法です。1つの銘柄だけに投資すると、その銘柄の価値が下落すれば大きな損失が生じます。
一方、複数の銘柄に投資先を分散すれば、ある銘柄の価値が下がっても、他の銘柄の価値が上がれば損失をカバーできます。
米国株式インデックスファンドはさまざまな銘柄を組み込んで運用を行うため、1本購入するだけで分散投資が可能です。少額から購入でき、SBI証券や楽天証券など、100円から購入できる証券会社もあります。
投資には、「手間がかかる」というイメージがあるかもしれません。しかし、米国株式インデックスファンドは積立投資にも対応しています。積立投資は最初に設定をしておけば、あとは自動的に購入してくれるので、時間や手間はかかりません。
何度も値動きを確認したり、自分で購入タイミングを判断したりする必要もないため、忙しい人でも気軽に投資に取り組めます。
米国株式インデックスファンドは、つみたてNISAやiDeCoといった非課税制度を活用できるのもメリットです。
つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を払って運用し、運用成果に応じた年金を受け取れる制度になります。
投資信託の運用益には、通常約20%の税金がかかります。しかし、非課税制度を利用すれば運用益に課税されないので、通常の証券口座よりもお得です。
米国株式インデックスファンドを購入する場合は、こうした非課税制度を積極的に活用するといいでしょう。
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米国株式インデックスファンドは、高い利回りが期待できるのも魅力です。具体例として、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を毎月2万円、3年間(36カ月)積み立てた場合の運用実績を見てみましょう。
投資額 | 運用益 | 運用実績 |
---|---|---|
720,000円 | 222,467円 | 942,467円(+30.9%) |
投資額720,000円に対し、3年間の運用実績は942,467円で+30.9%のリターンとなりました(2022年11月末時点)。今後も同じように運用できるとは限りませんが、この結果から米国株式インデックスファンドは高い利回りが期待できることがわかります。
米国は世界最大の経済大国であり、多くの世界的企業が米国市場に上場しています。また、日本と密接なつながりがある国でもあります。
米国の株価や経済の動向は日本国内でも頻繁に報道されているので、米国株式インデックスファンドなら投資情報を入手しやすいでしょう。
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一方で、米国株式インデックスファンドには以下のようなデメリット・注意点もあります。
それぞれ確認していきましょう。
米国株式インデックスファンドは、預貯金とは異なり元本は確保されていません。運用がうまくいけば利益を得られますが、値動きによっては元本割れの可能性もあります。
元本割れとは、金融商品の価格が下落して投資金額を下回ることです。元本割れリスクは米国株式インデックスファンドに限らず、金融商品全般に共通するリスクになります。
米国株式インデックスファンドは、短期で大きなリターンは期待できないのもデメリットです。
投資対象である株価指数との連動を目指して運用されるため、市場平均のリターンを得られます。しかし、個別銘柄に比べると値動きはそれほど大きくないので、短期で資産を大きく増やすのは難しいでしょう。
こちらも米国株式インデックスファンドに限らず、インデックスファンド全般に共通するデメリットになります。
米国株式インデックスファンドは米国の株価指数に連動した成績を目指します。株価指数とは、株式市場全体や特定の銘柄群の株価の動きを表す指標です。日本の株式市場であれば、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などがあります。
米国株式インデックスファンドがベンチマークとする主な株価指数は以下の3つです。
S&P500 | CRSP USトータル・ マーケット・ インデックス |
NYダウ | |
---|---|---|---|
対象 銘柄 |
約500銘柄 | 約4,000銘柄 | 30銘柄 |
算出 方法 |
時価総額を 指数化 |
時価総額を 指数化 |
平均株価を 指数化 |
特徴 | 大型株の影響を受けやすい | 大型株の影響を受けやすい | 値がさ株の影響を受けやすい |
それぞれの特徴を確認していきましょう。
S&P500とは、米国を代表する上場企業約500銘柄で構成されている株価指数です。米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。市場規模や流動性などを考慮し、幅広い業種から銘柄を採用しています。
S&P500のインデックスファンドを購入すれば、米国の大型株500銘柄に分散投資が可能です。組入上位銘柄にはアップルやマイクロソフト、アマゾンといった世界的な有名企業が入っています。
米国の主要な取引所であるNY証券取引所とNASDAQの両方をカバーしているため、米国市場全体に偏りなく投資可能です。
CRSP USトータル・マーケット・インデックスとは、米国株式市場に上場する約4,000銘柄で構成されている株価指数です。大型株から小型株まで、投資可能銘柄のほぼ100%をカバーしています。
S&P500と同じく時価総額を指数化しているため、大型株の値動きに影響を受けやすい特徴があります。
CRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動するインデックスファンドを購入すれば、米国市場全体に分散投資が可能です。
NYダウとは、米国を代表する上場企業30銘柄で構成されている株価指数です。「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」「ダウ平均株価」と呼ばれることもあります。採用銘柄には、コカ・コーラやナイキなどの有名企業が入っています。
NYダウに連動するインデックスファンドを購入すれば、米国の主要30銘柄に分散投資が可能です。
平均株価を指数化しているため、株価の高い値がさ株の影響を受けやすい傾向にあります。
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米国株式インデックスファンドは、以下4つの順番で選ぶのがポイントです。
1つずつ内容を確認していきましょう。
つみたてNISAは、2018年にスタートした少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。つみたてNISAの対象商品は、金融庁が指定する長期の資産形成に適した一定の投資信託に限定されており、米国株式インデックスファンドも含まれています。
国内では約6,000本の投資信託が販売されていますが、つみたてNISA対象商品は約200本しかありません。つみたてNISAの対象商品から選ぶことで最初から銘柄数を絞り込め、なおかつ金融庁が指定する長期・積立・分散投資に適した投資信託に投資することが可能です。
米国株式インデックスファンドは、投資対象指数によって構成銘柄やリスクなどが変わってきます。前述した指数ごとの特徴を理解し、自分の運用方針に合ったファンドを選ぶことが大切です。
たとえば、米国の主要企業に投資したい場合は、S&P500やNYダウが候補になります。分散投資によるリスク軽減を重視したい場合は、採用銘柄数が多いS&P500やCRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動するファンドを選ぶといいでしょう。
米国株式インデックスファンド選びで確認しておきたい運用コストは以下の3つです。
これらのコストは、証券会社のホームページやファンドの目論見書に掲載されています。
信託報酬は、インデックスファンドであれば「年率0.2%未満」が1つの目安です。運用成果が同じなら、信託報酬が低いファンドのほうが手元に残せる金額は大きくなります。
購入時手数料と信託財産留保額は無料のファンドを選びましょう。購入時手数料は証券会社によって違います。SBI証券などのネット証券では無料のことが多いため、おすすめです。
純資産総額とは、投資信託の保有資産の合計額(時価)のことで、ファンドの規模の大きさを表します。
米国株式インデックスファンドを選ぶ時は、純資産総額の大きさに注目しましょう。純資産総額が小さいファンドは安定運用ができず、運用終了のリスクが高まるからです。その際は、「純資産総額100億円以上」を目安に選ぶといいでしょう。
続いて、おすすめの米国株式インデックスファンドとして5銘柄を紹介します。
つみたてNISA対象商品の中から、投資対象指数ごとに信託報酬が低く、純資産総額が大きいファンドを選びました。いずれも米国株式が投資対象であるため、5本全部買う必要はありません。各ファンドの概要や向いている人の特徴を見ていきましょう。
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
---|---|
設定日 | 2018/7/3 |
投資対象指数 | S&P500 |
信託報酬(税込) | 0.09372%以内 |
純資産総額 | 19,950.3億円 |
運用実績 (3年積立運用) |
30.9% |
S&P500との連動を目指して運用されるインデックスファンドです。1本購入するだけで、米国を代表する上場企業500銘柄に投資できます。
信託報酬が業界最安水準で、純資産総額も大きいため、長期の資産形成に向いています。S&P500のインデックスファンドに低コストで投資したい人におすすめです。
SBI証券、楽天証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券などで購入できます。
運用会社 | SBIアセットマネジメント |
---|---|
設定日 | 2019/9/26 |
投資対象指数 | S&P500 |
信託報酬(税込) | 0.0938%程度 |
純資産総額 | 6,980.5億円 |
運用実績 (3年積立運用) |
30.6% |
こちらも、S&P500との連動を目指すインデックスファンドです。世界最大級の運用会社「バンガード社」が運用する「バンガード・S&P500 ETF」を主要投資対象としています。
信託報酬については、ETFの管理費用を含めた実質的な運用コストは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と大きな差はありません。S&P500に投資したい人、バンガード社のETFを購入したい人におすすめのファンドです。
SBI証券をはじめ、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券などで購入できます。
運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
---|---|
設定日 | 2017/9/29 |
投資対象指数 | CRSP USトータル・マーケット・ インデックス |
信託報酬(税込) | 0.162%程度 |
純資産総額 | 7,096.5億円 |
運用実績 (3年積立運用) |
28.1% |
CRSP USトータル・マーケット・インデックスとの連動を目指して運用されるインデックスファンドです。ファンド名に「全米株式」とあるように、この1本で米国市場に上場する約4,000銘柄に投資できます。
バンガード社が運用する「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」が主要投資対象です。上記の信託報酬はETFの管理費用を含みます。米国市場全体に分散投資をしたい人におすすめです。
楽天証券をはじめ、SBI証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券などで購入できます。
運用会社 | SBIアセットマネジメント |
---|---|
設定日 | 2021/6/29 |
投資対象指数 | CRSP USトータル・マーケット・ インデックス |
信託報酬(税込) | 0.0938%程度 |
純資産総額 | 1,163.7億円 |
運用実績 (1年積立運用) |
2.1% |
2021年6月に設定された、新しい米国株式インデックスファンドです。そのため運用実績は1年分を掲載しています。
「楽天・全米株式インデックス・ファンド」と同じく、CRSP USトータル・マーケット・インデックスとの連動を目指します。「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」が主要投資対象で、信託報酬にはETFの管理費用も含まれます。
運用コストは「楽天・全米株式インデックス・ファンド」より安いので、低コストで米国市場全体に投資したい人におすすめです。
購入できる証券会社はSBI証券のみです。
運用会社 | 大和アセットマネジメント |
---|---|
設定日 | 2016/9/8 |
投資対象指数 | NYダウ |
信託報酬(税込) | 0.2475% |
純資産総額 | 435.9億円 |
運用実績 (3年積立運用) |
37.7% |
NYダウとの連動を目指して運用されるインデックスファンドです。この1本で、米国を代表する30銘柄に分散投資ができます。
NYダウのインデックスファンドとしては信託報酬が低めに設定されており、純資産総額も大きいのが特徴です。そのため、NYダウの採用銘柄に低コストで投資したい人におすすめです。
SBI証券、楽天証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券などで購入できます。
「投資を始めたい」と思っても、どの証券会社を選べばよいか悩むのではないでしょうか。これから投資を始めるなら、手数料が安く、パソコンやスマホで取引できるネット証券がおすすめです。
ここでは、米国株式インデックスファンドの取り扱いが豊富なネット証券を3社ご紹介します。
SBI証券のおすすめポイントは以下の3つです。
SBI証券は、三井住友カードのクレジットカード決済で投信積立が可能です。100円から購入でき、決済額に応じて0.5~5.0%のVポイントが付与されます。
投資信託の取引に応じてTポイントやPontaポイント、dポイント、Vポイント、JALのマイルなどが貯まるサービスもあります。ポイント投資にも対応しており、TポイントやPontaポイントなら「1ポイント=1円」として投資信託の購入時に利用できるのもメリットです。
どのネット証券にするか迷ったら、SBI証券を選んでおけば間違いないでしょう。
楽天証券のおすすめポイントは以下の4つです。
楽天証券は、楽天カードクレジットカード決済はもちろん、楽天キャッシュ(オンライン電子マネー)による投信積立も可能です。100円から購入でき、積立銘柄や決済に使用する楽天カードのランクに応じて積立金額の0.5~1%のポイントが付与されます。
楽天グループの利用で貯めた楽天ポイントを使って、投資信託を購入できるのも魅力です。また、楽天銀行と連携すれば、普通預金金利の優遇などの特典も受けられます(マネーブリッジ)。
楽天証券は、楽天グループのサービスをよく利用する人におすすめです。
マネックス証券のおすすめポイントは以下の3つです。
マネックス証券は、マネックスカードのクレジットカード決済で100円から投信積立ができます。決済額の1.1%のマネックスポイントが付与されるのでお得です。
投資信託の保有で最大0.08%(年率)のポイントが付与されるサービスもあります。また、貯めたポイントを使って投資信託を購入することも可能なほか、アマゾンギフトカードなどにも交換できます。
マネックス証券は、マネックスポイントを貯めたい人におすすめです。
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米国株式インデックスファンドは何本買えばいいの?
まずは1本だけでOKです。
米国株式インデックスファンドは米国株式市場全体に分散投資ができるので、基本的には1本買うだけで問題ありません。株価指数によって投資対象が異なるため、指数ごとの特徴を理解した上で、自分の運用方針に合ったファンドを選びましょう。
ただし、米国株式だけに投資するとリスクが高まる可能性もあります。リスク軽減を図りたい場合は、投資対象地域を分散させるために、国内株式インデックスファンドなどを追加購入するといいでしょう。こちらの記事でもおすすめしています。
S&P500と全米株式はどっちを選べばいい?
どちらがよいかは好みによります。
S&P500インデックスファンドは、米国を代表する500銘柄に投資できます。一方、全米株式に投資したい場合には、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」をベンチマークとする全米株式インデックスファンドがあり、米国市場に上場する約4,000銘柄に分散投資ができるのが特徴です。
S&P500と全米株式のどちらがよいかは、希望する運用方針によって変わってきます。米国を代表する企業に分散投資をしたいならS&P500、米国市場全体に投資したい(より分散効果を高めたい)場合は全米株式を選びましょう。
米国株式インデックスファンドなら、1本で米国市場に上場する銘柄に分散投資ができます。積立投資や非課税制度にも対応しているので、初心者でも購入しやすい投資信託です。投資対象指数や信託報酬、純資産総額などを比較して、自分に合ったファンドを選びましょう。
いざ、投資を始めよう!と思っても、数ある金融機関の中からどこを選べばよいか迷いますよね。そこで、多くの人に支持される金融機関3つを、独自のサービスやおすすめ情報と併せてご紹介します。
SBI証券
松井証券
楽天証券
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米国株式インデックスファンドとは?初心者におすすめの銘柄5選の比較と選び方を解説
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