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「老後が不安」という方が増えていますね。
とある調査では、会社員の退職金は年々減少傾向にあるそうです。今回は、そんな会社員の方に向けた注目の制度、iDeCo(イデコ)について解説します。もともと退職金が期待できないという方も必見です!
目次
会社員の皆さんにとっては、ちょっと気の重い話かもしれません。厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、2018年に定年退職で辞めた会社員の平均退職給付額は1983万円(※大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の場合)。
実はこの金額、前年よりもアップしているのですが、それまでは1997年の2868万円をピークにほぼ右肩下がり。この20年間で、ざっと900万円も下がってしまいました。
退職金、それは老後生活の希望の光。それが減少傾向にあることは、会社員には見過ごせない事態です。それでなくとも給与水準は多くの企業で頭打ち。公的年金制度も不安を抱える中、自分の老後資金は自分で何とかする。そういう時代になってしまったと言えるでしょう。
そんなときこそ、iDeCo(イデコ)の出番なのです。
しかし、水を差すようですが、すべての会社員が加入できるというわけではありませんし、掛け金額もケースに応じて異なります。ちょっと整理してみました。
(1)勤務先に「企業年金」がない場合
iDeCoに加入できます。掛け金の上限は月2万3000円
(2)勤務先に「確定給付型年金」がある場合
iDeCoに加入できます。掛け金の上限は月1万2000円
(3)勤務先に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」がある場合
勤務先が認めている場合は可能ですが、認めていないケースが多く、加入できない勤務先がほとんどです。
掛け金の上限は、企業型DCの場合は月2万円、企業型DCと確定給付型年金の両方がある場合は1万2000円
iDeCo利用の大きな利点は税制の優遇ですが、とくに掛け金が全額所得控除になる点は見逃せません。iDeCoは老後になったら役立つというイメージがありますが、税制優遇のメリットは現役時代に受けることができるのです。
では、掛け金の全額所得控除の恩恵って、どのくらいあるのでしょうか。ちょっと計算してみました。
年収500万円、35歳の会社員(厚生労働省・平成30年「賃金構造基本統計調」を参考に年収を設定)のケースを見ていきましょう。
毎月の掛け金が5000円の場合、年間で軽減される税金(所得税と住民税)は1万2000円です。
人によっては「たったそれだけ?」と思うかもしれません。しかし、毎月5000円の積立で1年後にこれだけの利息を手にするには、税金も考慮すれば、年利回りで47%という大変な利息が必要になります。元本確保型でこれだけ高利回りの金融商品はこの世に存在しません。
さらに、表1で示したとおり、掛け金が大きいほど、節税効果も高くなります。可能であれば掛け金の上限まで掛けられれば最大限の節税メリットが受けられます。
とはいえ、掛け金は原則60歳まで引き出せないため、掛け金の上限まで掛けることが難しいという人もいるでしょう。あくまで無理のない金額でiDeCoを始めてみて、余裕が出てくれば、毎月の掛け金を増やしてみてはいかがでしょうか。
では、運用益に対する非課税というメリットについてはどうでしょうか。
同じく年収500万円、35歳の会社員のケースを示したのが表2です。
毎月2万3000円の掛け金で、年3%で運用が継続してできたなら、25年間で運用益の総額は約330万円。通常、この運用益に対して約20%が課税されますから、課税額67万円が差し引かれることになります。iDeCoでは、それが一切、非課税となるわけです。
この場合、積み立て元本は690万円ですから、60歳の時点で1000万円超の老後資金づくりができることになります。
もし平均の運用利率が1%でも同様に60歳時に約780万円が用意できるのです。
長期の積立と非課税というダブル効果がGETできるのがiDeCo。いかに老後の備えに適した制度かがわかってもらえるかと思います。
iDeCo(イデコ)の魅力が理解できたら、次はいよいよ手続きです。
iDeCoを始めるまでのおおまかな流れは以下のとおりです。基本的に書類のやりとりで手続きを進めていきます。
まずは金融機関でiDeCo口座を開設する必要があります。金融機関は自由に選べますが、国民年金基金連合会が口座振替契約を行っていない金融機関(外国籍の銀行等)は指定できません。
金融機関が決定したら、ネット等で申込書類などを取り寄せます。
会社員の皆さんが提出する書類は主に以下の2種類。取り寄せた書類に含まれているか、また申出書が「第2号被保険者用」となっていることも必ず確認しましょう。
(1)個人型年金加入申出書
金融機関が用意するもので、申出者情報の記入、捺印した上で金融機関に提出します。
(2)事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書
会社員にとっての、いわば「職場の証明書」。勤務先の人事・労務担当の部署等に作成を依頼し、申出者情報の記入、捺印した上で金融機関に提出します。
書類作成では、捺印(金融機関届け出印)は認印でもOKですが、シャチハタネームは不可。また、書類に明記する基礎年金番号は、年金手帳やねんきん定期便で確認できます。年金手帳は会社が預かっているケースが多いので、勤務先の総務・人事担当に問い合わせて、取り寄せて確認するとよいでしょう。
他に、金融機関によっては運転免許証や健康保険証のコピー、住民票の写しや印鑑登録証明書などが必要な場合があります。事前に金融機関に問い合わせしておくといいでしょう。
もうひとつ、注意点があります。会社員の方がiDeCoに加入するには、勤務先に書類を記入、作成してもらう必要があります。会社側は、書類記入以外にも、掛け金が給与天引きの場合の納付や年末調整、年1 回の現況届の提出など、何かと事務手続きが増えることになります。
そのため、勤務先(主に小規模であったり、企業年金等への理解が低い企業)によっては、加入に際して担当者や上司から嫌みを言われたり、手続きそのものを嫌がられたりということが起こっている事例があります。「イデコハラスメント」、略して「イデハラ」と呼ばれるものです。
当然回避したい事態ですが、では有効な予報策、対処策はというと、難しい部分があります。結局は人間関係等に左右されるからです。事務処理が増えることを理解した上で依頼することも大切でしょう。
それでも手続きが進まないなら、「確定拠出年金法」の第78条で事業主の協力が義務化されていることを伝えた上で、丁寧に説明していくことが必要と思われます。
さて、iDeCo(イデコ)の良さはわかっても、「運用」して損はしたくないという方も当然いるはず。「運用」すれば増える可能性もありますが、掛けたお金が減るリスクも同時にあります。そして、誰だってお金を減らしたくはありません。
実は、「iDeCo=運用」というイメージがあるものの、「運用」をしなくても始められるのです。
各金融機関はiDeCo専用の商品を10〜20本程度用意しています。加入者はそこから、これだと思う商品を選ぶわけですが、その中から「定期預金」を選ぶのです。定期預金はいつ解約しても原則、元本割れしません。「運用で損をしたくない」という方は、迷わず定期預金を選べばいいことになります。
しばらくして投資に興味がわいてきり、少額なら投資にトライしてみたいという人もいるでしょう。その場合、掛け金の一部を投資信託で積み立てることも可能です。
ともあれ、制度を理解した上で、自分に合ったスタイルで、一歩踏み出してみる。それが「iDeCo上手」になるコツなのです。
ここまで読んで「会社に守られていると思っていたのに大変だな...」と感じた会社員の方もいるかもしれません。
一部の企業を除いては、会社員であっても積極的に自分の老後のために動く時代になったということですね。
老後については何かと暗い話題が多いですが、iDeCoを活用して、前向きに動いていきましょう。まだiDeCoを始めていない方は、この機会に是非ご検討ください。
iDeCo(イデコ)は一人一口座しか持てないため口座選びが重要。でも、多くの金融機関の中からどこを選べばよいか迷いますよね。そこで、分かりやすい基準として、iDeCo専門サイトNo.1の「iDeCoナビ」でよく見られている金融機関と、独自サービスがある注目の金融機関をご紹介します。
SBI証券
楽天証券
松井証券
りそな銀行
三井住友銀行
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会社員がiDeCo(イデコ)を始めるために必要な情報をまとめました
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